❖形が動きを作る~運動を制限する身体構造の問題に向き合う~
身体の問題(痛みや違和感etc~)やパフォーマンスの問題は、どこから派生するのか?大きな要因として、その人の構造の問題と、そして日常における運動の問題があります。
ですので、ランナーに限らず、他の分野のアスリートも、人間の根源的な運動である「歩く」「走る」、いずれかの動画を撮り自分自身の運動を観てもらいます。
想像していた自分の動きと、現実の姿との乖離に大概の方が、少なからず凹みます。(笑)
そこから、彼らの構造と日常が作り出した、今あるがままの運動を評価し、クライアントのが改善したいと思っていることとのその要因となる問題を抽出し、アプローチの手順を組み立てていきます。
さて、次のプロセスとして、まずは、身体構造の問題を抽出し、整体を施します。(バイニーアプローチ痛みのない施術)
形と仕組みが変わらなければ、運動は変わらないからです。
❖体幹を解放する
日本人のアスリートは、「体幹がぶれない」ことが良いことと教わります。そして、ある意味「美徳」とされている感もありますね。
「体幹」という言葉、「ぶれない」という言葉、いずれも実に安直に、あいまいな表現として無責任に使用されることが多いので私はこの表現が好きではありません。
ランナーにいたっては、かっちりと姿勢を作り、体幹アーチを作ることが美しいフォームと認識している人、また指導者も多いです。
しかし、世界のトップランナーは体幹を止めません。なぜなら、身体は連動し動きたがっているからです。
世界のトップランナーがジョグをする珍しい動画です。ファラーのしなやかな全身運動はとても参考になります。※動画はりつけられなかったので、リンクでご覧ください。
肩甲帯も動きつづけ、骨盤の前後傾運動が実にナチュラルに表れています。骨盤が動けば、脚の内外旋運動も表出し、足部は大喜びで仕事します。上下動がきちんと推進するためのエネルギー変換に寄与しています。
この辺の話も、いつか書きます。
※ファラーの骨盤の前後傾運動。これがなければ、足部はちゃんと働きません!
日本人ランナー特有の体幹を固定する、「動きたがる身体を止める」というガラパゴス的な動作癖がつくってしまった問題の一つとして、体幹内の結合組織が慢性的に硬くなるという現象があります。
特に、身体の中でも大きなユニットの一つ胸郭がガッチガチに硬く、肝心の肩甲帯も可動しにくくなり、全身運動を著しく制限することになります。
そして、胸郭内のスペースのほとんどを占める肺などの機能にも悪影響を及ぼします。
胸郭の硬度が高い人には、風邪をひいたら咳が止まらないなど、気管の問題を抱える方も少なくありません。
私はインソール作成で足部の骨格の変位を調整するために下肢を優先的に診ていたのですが、今は、完全に上体からアプローチします。
時間をかけるのが胸郭への施術になります。
ここ最近は、特に、胸郭が柔軟になると、運動誘導の中でどうしても導けなかった運動がいとも簡単に生成されるという経験を重ねています。
つまり、「そもそも」に向き合うことを信条としてきたものの、灯台下暗しで、「形が運動を作る」というバイオメカニクスの基幹となる概念をあいまいにしていたということになります。。。。。猛省。
ということで、問題を是正する大前提として、クライアントの「形、仕組み」の問題にアクセスすることは、ミズグチメソッドの根幹を構成する大きな要素となってとなっています。
形や仕組みがうまくいっていない人にいくら、ああしろ、こうしろといっても、物理的にそうは動かないのです。
特に、子供の指導の現場ではその理不尽なアプローチは、その子の一生にかかわります。
指導者は、身体構造上の個体性に対し、必ず、向き合わなければなりません!!
緩やかな傾斜で、ビー玉は転がりますが、サイコロはころがりません。
「形が運動を作る」 ここも絶対に忘れてはいけませんね。
つづく
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